俳句について
俳句(はいく)とは五・七・五のモーラ(音・音節)から成る日本語の定型詩であり、世界最短の詩である。俳句を詠む(作る)人を俳人と呼ぶ。
17世紀に松尾芭蕉が出てその芸術性を高め、なかでも単独でも鑑賞に堪える自立性の高い発句、すなわち地発句を数多く詠んだ事が後世の俳句の源流となる。
明治時代の正岡子規。子規は江戸末期の俳諧を月並俳諧と批判して近代化した文芸たらしめるための文学運動を行い、発句が俳句として自立した。俳句の自立後の視点から、松尾などの詠んだ発句をさかのぼって俳句とみなす見方もある。
五・七・五の音数による言葉の調べ(韻律)と「季語」と「切れ」によって短い詩でありながら心のなかの場景(心象)を大きくひろげることができる特徴を持っている。
特徴
俳句には次の特徴がある。
• 五・七・五の「韻律」で詠まれる定型詩である。
• 基本として「季語」を入れる。
• 一か所、必ず「切れ」がある。
• 余韻を残す。
韻律
俳句は定型詩であり、五・七・五の韻律が重要な要素となっている。この韻律は開音節という日本語の特質から必然的に成立したリズムであって、俳句の制約とか、規則と考えるべきではない。五の部分が6音以上に、または七の部分が8音以上になることを字余りという。
古池や 蛙飛び込む 水の音 芭蕉
旅に病んで 夢は枯れ野を かけめぐる 芭蕉
季語と季題 [編集]
• 古池や 蛙飛び込む水の音 芭蕉
では、「古池や」の後で一呼吸、句の流れが切れている。読者はその一瞬の休符の合間に、作者を取り巻く環境や作者の思想・感情・情念・背景などを勝手に想像してしまう仕掛けになっている。このテクニックが「切れ」と呼ばれ、十七文字という限定された語数で、言葉に形と質感を与える効果を持つ。さらに、季語とあいまって句に余韻をかもしだす。
現代の俳句でも「切れ」は重要なテクニックの一つであり、「切れ」のない句は俳句としては評価されない。
●切れ字…「かな・けり・や・ぞ・か」などの語で、
①意味の切れ目を作り、また、
②作者の感動の中心を表す。
●句切れ…俳句の途中で、文としての意味の流れが途
切れるところ。「切れ字」があれば、その部分が「句切れ」となる。
●季重なり(季重ね)… 一句の中に季語が二つ以上入っていること。
例:行水(夏)の捨てどころなし虫の声(秋)(上島鬼貫)
美しい秋の虫の声をそのまま心地よく響かせていたいと願う作者の気持ちが強く伝わってくるので、季語を「虫の声」とする。